苦渋を味わったアロンソとバトン。ホンダドライバーの本音は? (2ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki  桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

「ひと言で言えば、"学習の年"だった。マクラーレンのマシン開発方針はフェラーリと明らかに異なり、ホンダの日本人らしい忍耐に満ちた方法論から僕は多くを学び、さらに強くなった。この1年で、過去5年間に学んだよりもさらに多くのことを学んだと思う。僕はそうやって常に新しいことを学び続け、新しいモチベーションを手にし、自分のキャリアを形成してきたんだ。そして今も、3度目のワールドタイトルを勝ち獲ることを夢見ているんだ」

 レース中の無線では、「GP2エンジン!」と叫んでみたり、「燃料をセーブするのは嫌だ!」とエンジニアに反抗してみたりした。アブダビGPでは、「もうリタイアしよう」とあきらめの弱気を見せた。だが、その無線には続きがあった。

「僕らは2周遅れで走っていて、なおかつタイヤをセーブし、燃料もセーブしながら走らなければならなかったんだ。何も起きなければ、18位とかでフィニッシュするだけだ。それなら、『全開でプッシュして、このマシンの限界を見てみようよ。最後に少し楽しもうよ』って言ったんだ。そのせいでガス欠になってしまうなら、それでもいいとね」

 その結果、アロンソはレース終盤にスーパーソフトタイヤに履き替え、燃料が軽い状態で猛プッシュをして、全20台のなかで3位という自己ベストタイムを刻んだ。ERS(エネルギー回生システム)のバッテリー不具合のため、作動が不安定になりながらのアタックであったにもかかわらずだ。

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