徹底検証・屈辱の参戦1年目。ホンダのF1復帰は早すぎたのか? (3ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki  桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

 パワーユニットの基本性能は、やはりエンジン本体であるICE(内燃機関エンジン)の出力で決まる。燃料流量が100kg/hに制限されている以上、その同じ条件でパワーが高ければ、燃費も良いことになる。そうすれば、100kgという燃料使用制限が課せられる決勝でも優位に戦える。だからホンダはまず、ICEの性能追究に主眼を置き、MGU-Hの性能確認がおろそかになっていた面もあったと、あるエンジニアは語る。

 もう一方では、ライバルメーカーたちの進歩を甘く見ていたところもあった。

「去年のデータを分析する限りでは、他メーカーのパワーユニットも(1周を走るなかで)ディプロイメントが切れていたんですね。でも今年になると、各社ともそこを相当修正してきていた」(新井総責任者)

 シーズン序盤は自分たちのことだけで精一杯となり、周りを見る余裕もなかったが、フライアウェイ戦が終わるころになると、自分たちのMGU-Hが目標値を下回っているだけでなく、想定していたよりもずっとライバルメーカーがディプロイメント不足を解消してきていることがわかってきた。つまりホンダは、ダブルパンチでディプロイメント不足のハンディを背負ってしまっていたのだ。

 全開率の高いパワーサーキットが続いたベルギーGP以降のシーズン後半戦は、ICEをパワーアップさせたにもかかわらず、ディプロイメント不足による非力さがより一層、顕著に見えてしまった。

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