【F1】シーズン終盤で突如噴き出たホンダの「新たなトラブル」 (2ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki  桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

「18戦目になってもまだトラブルが出るような現状を、どう考えているのか?」

 ホンダの新井康久F1総責任者に対し、非難に近い厳しい質問を投げかけた英国人記者もいた。

 しかし、ドライバーはふたりとも、今年はもう車体的にもパワーユニット的にも苦境を脱することができないことはわかっている。

 ロシアGPで投入したスペック4は、ICE(内燃機関エンジン)本体の出力アップに成功した。ただ、「MGU-H(※)からのエネルギー回生が足りない」という最大の問題を解決するには、大がかりな設計変更が必要であり、今の開発規制下では今シーズン中の対応はできない。

※MGU-H=Motor Generator Unit-Heatの略。排気ガスから熱エネルギーを回生する装置。

 また、車体には毎レース、細かなアップデートが投入されているものの、空気抵抗が大きく曲がっていかない車体の基本特性は、いかんともし難(がた)い。ブラジルに持ち込まれた新しいフロントウイングのフラップもフリー走行で試したが、結局、実戦での採用には至らなかった。

 コースの1周が短く、ディプロイメント(エネルギー回生)切れの症状が出ないインテルラゴス・サーキットでさえ、非力なルノー勢にも大きな差をつけられた。それを考えれば、コーナーの立ち上がりでトラクションが不足してスロットルが踏めないことと、コーナーを速く走るためのダウンフォースを得ることで空気抵抗を増やしていることが、最高速の伸びない大きな"足かせ"になっていることは明らかだった。

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