【F1】「伝説のメキシコ」で突きつけられたホンダの厳しい現実

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki  桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

 なんとも皮肉なことではあるが、今年のホンダには標高の高さが味方するどころか、大きな足枷(あしかせ)となってしまったのだ。

 メキシコで苦戦を強いられることは承知のうえで、チームはスペック4のICE(内燃機関エンジン)を2台のマシンに投入し、ここでグリッド降格ペナルティを消化して次のブラジルGPと最終戦のアブダビGPに備える戦略を採った。バトンに至っては、FP-1(フリー走行1回目)だけを走った段階で降ろし、ほぼ新品のまま温存するという戦略にでた。

 ただ、ホンダも手をこまねいてばかりいたわけではない。

 伸びしろは少ないとはいえ、上限の毎分12万5000回転まで回してもいいように改良を施したTC(ターボチャージャー)を用意し、予選・決勝で使うICEにこれを組み付けた。トークン(※)を使って燃焼系と排気管を変えたICEとは別に、信頼性向上を理由にFIAから承認された改良パーツだ。

※パワーユニットの信頼性に問題があった場合、FIAに認められれば改良が許されるが、性能が向上するような改良・開発は認められていない。ただし、「トークン」と呼ばれるポイント制による特例開発だけが認められている。各メーカーは与えられた「トークン」の範囲内で開発箇所を選ぶことができる。

 だが、金曜からマクラーレン・ホンダのマシンには、トラブルが散発的に起きてしまった。

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