【F1】3度目の戴冠。ルイス・ハミルトンが感涙した「胸のうち」

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki  桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

「今日は勝てないと何度も思ったし、本当にタフなレースだった。序盤は(路面が濡れていて)スケートをしているみたいなレースで、4位まで落ちて、そこから2位まで這い上がって、しばらくの間リードして、またピットインしてニコ(・ロズベルグ)が10秒先にいって......。僕にとっては"ネバーギブアップ"が試されるレースだったけど、自分は勝てると信じ続けたんだ」

 その勝利に対する執念とあきらめない強さこそが、セナから教わったことであり、自分がレースを通して伝えたいことでもあるのだと、ハミルトンは言った。

「僕がF1マシンをドライブして楽しんでいることが、若い人たちを鼓舞することになっているんだと思う。今日のレースで表現できたことがあるとすれば、それは夢、希望、願いに向かってあきらめないということだと思う」

 その言葉どおり、2015年のハミルトンは強かった。

 かつては、精神的なもろさが指摘された時期もあったが、今のハミルトンは逆境に追い込まれても狼狽せず、そこから挽回する強さがある。それが16戦10勝――、表彰台を逃したのはハンガリーGPとマシントラブルでリタイアを余儀なくされたシンガポールGPのみ、という驚異的な安定感につながっている。

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