【MotoGP】タイトル争いに禍根を残す、ロッシとマルケスの接触 (4ページ目)

  • 西村章●取材・文 text by Nishimura Akira  竹内秀信●撮影 photo by Takeuchi Hidenobu

 2台は熾烈なバトルを繰り広げ、5周目には1コーナー、2コーナー、4コーナー、5コーナー、6コーナー、9コーナー、10コーナー、11コーナー、12コーナーと、1周で9回も位置を入れ替える激しい争いを続けた。

 そして、7周目の13コーナーから14コーナーにかけてイン側にいたロッシが、速度を落としながらマシンをコースのアウト側に寄せていった際に、アウト側にいたマルケスとロッシの左脚が接触する事態になった。横側からの映像ではロッシが左脚を出して蹴っているようにも見えたため、一瞬、会場は騒然となった。

 レース後にマルケスは、「故意に脚を出してハンドルバーをひっかけ、転倒させた」と主張。ロッシは、「あくまで向こうの走行ラインをふさいで速度を落とさせることが狙いだった。転倒させようとはしていない。自分の足がフットペグを離れているのは、彼の転倒後だったことは、上空からの映像を見れば鮮明にわかると思う」と弁明をしている。

 紙幅の関係もあり、ここではひとまず真相の究明や事の非理をただすことは置いておく。だが、『蹴り』の有無はともかくとしても、少なくとも意図的な幅寄せという危険行為が原因となって発生した転倒に対する結果責任については、レースディレクションがロッシに対して、レース中に強制的にピットロードを通過させてタイムを加算するライドスルーペナルティや、あるいは即座の失格処分があっても、おかしくはなかっただろう。たとえば過去には、意図的ではない接触転倒でも、原因を作ったライダーに対してライドスルーペナルティが科されている(2011年の第4戦・フランスGPなど)。

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