【MotoGP】タイトル争いに禍根を残す、ロッシとマルケスの接触

  • 西村章●取材・文 text by Nishimura Akira  竹内秀信●撮影 photo by Takeuchi Hidenobu

 それが結果的に、マレーシアGPの決勝レースを非常に後味の悪いものにしてしまった。

 今回のレースに先立つ第16戦・オーストラリアGPは、マルケス、ロレンソ、ロッシ、そしてアンドレア・イアンノーネ(ドゥカティ)の4台が入り乱れ、最終セクターの最終コーナーまで激しいバトルが続いた。そして、最終コーナー手前でロレンソに鋭いオーバーテイクを仕掛けたマルケスが優勝し、ロレンソは2位、イアンノーネ3位、ロッシ4位という結果で終わった。

 激しく緊張感に満ちたこのレースの余韻がさめやらぬまま、戦いは南半球から北半球の赤道直下へ移り、マレーシアGPを迎えた。そのレースに先立つ木曜のプレスカンファレンスの場で、ロッシから、「僕にチャンピオンを獲らせないため、マルケスはロレンソに味方していた」という発言が飛び出した。

 ロレンソにしてみれば、「最終ラップでブチ抜かれたんだから、最高の味方をしてくれたよね」と皮肉でかわすような内容で、マルケスは、「僕は全力で自分のレースをして、勝ちを狙いにいっただけ」と説明。金曜の午前・午後に2回のフリー走行セッションを終えた際も、マルケスは、「1日経ってもべつに腹立たしくは思っていないよ。バレンティーノはずっと尊敬してきたし、これからも尊敬する相手だから」と、22歳にしては大人の対応を見せた。ロッシの挑発的な発言に対して、マルケスが心の奥底でどんなふうに思っていたのかは知るよしもないが、少なくとも表面的には穏やかに振る舞っていたことは間違いない。

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