【F1】鈴鹿だからこそ浮き彫りとなった「ホンダの実力」 (3ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki  桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

 だが、今年の鈴鹿で初のドライセッションとなった土曜フリー走行3回目から、マクラーレン・ホンダの2台はS字区間で何度もテールライトを点滅させていた。予選でも決勝でも、それは変わらなかった。

 マシンのリアに取り付けられた赤いLEDは、雨天時に点灯させる安全装置としてだけでなく、1秒以上にわたってスロットルを95%以上閉じたときに点滅する。燃費をセーブするためにストレートエンドでスロットルを戻す「リフト&コースト」をした際、後続車が追突しないように警告するためだ。

 しかし、マクラーレン・ホンダはS字で燃料をセーブしていたわけではない。高速コーナーが連続するS字セクションで、左へ右へとマシンが曲がっていかず、スロットルを戻さなければならなかったのだ。

 予選タイムを見れば、最高速がほぼ同じのレッドブル勢が高速コーナーの連続するセクター1で4位・7位のタイムを記録しているのに対し、マクラーレン勢は13位・16位。33秒ほどのセクターで0.7秒――つまり2.1%もの後れを取っている。ちなみに、ほぼアクセル全開区間のセクター3では0.1秒差で、約0.5%の後れだ。

 つまり、マクラーレン・ホンダに足りないのはパワーユニットの性能だけではなく、車体全体としての性能だと言わざるを得ない。鈴鹿を訪れてコース脇の観客席からその走りを生で見たファンの人たちも、その現実を目撃したのではないだろうか。

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