【F1】鈴鹿だからこそ浮き彫りとなった「ホンダの実力」 (2ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki  桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

「叱咤激励だと思って受け止めています。エネルギー回生がなくなって、あんなふうに抜かれたときには頭にくるでしょう。しかもDRSで(15km/h以上の速度差で)一気にいかれちゃったものだから、『なんだこれは!?』と思ったでしょうし」

 たしかにホンダのパワーユニットはエネルギー回生システムが不十分で、160馬力のディプロイメント(エネルギー回生)を切らなければならない時間がある。1周でバッテリーを使い切ってしまっても構わない予選とは違い、決勝では次のラップのことも考えなければならず、1周のなかでの回生・充電・放出の収支も余計に厳しくなってくる。

 しかし、あのストレートでの速度差はあくまでDRSによる差であって、パワーユニットの非力さだけが理由ではない。

「あれはDRSがあるからこそできることであって、あれだけの差をICE(エンジン本体)だけで出そう思ったら、とんでもない馬力が必要なんですよ。だけど、それは見ている人にはなかなかわからないでしょうからね。『なんだ、ホンダは全然馬力がないじゃん』というふうになりますよね......」

 新井総責任者は独り言のようにそう言ったが、記者会見ではそのことには触れなかった。ありのままの結果を受け止め、言い訳はしたくなかったからだ。

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