【F1】前哨戦でも苦戦。ホンダの日本GPはどうなるのか? (3ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki  桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

 シンガポールでマクラーレンは、第8戦・オーストリアから投入した新型ノーズに改良を加え、フロントウイングの翼端板も見直した。このように車体の開発は継続しているが、レッドブルの空力責任者をヘッドハンティングし、今季から空力哲学をレッドブル型にガラリと変えたがゆえに、開発で後れを取っていることもまた事実である。

 レッドブルが開幕戦でショートノーズに切り替え、その新たな方向性で競争力を発揮し始めたのは、ようやく第9戦・イギリスGPになってからのことだった。とすれば、マクラーレンはまだまだ時間が掛かる可能性が高い。

 イタリアGPでは、新井総責任者にホンダもしくは新井氏自身の責任を問う攻撃的な質問が飛び交い、翌日から海外のメディアではホンダ批判の記事が踊り、マクラーレンとホンダの関係悪化が話題になった。しかし、シンガポールGPではこの流れを断ち切るべく、マクラーレンのエリック・ブリエ(レーシングディレクター)が機先を制して言った。

「ここ数週間に展開されてきたのとは違う、正しい議論にしたい。さまざまな議論が飛び交いチーム内にプレッシャーもあったが、この場では個人的な質問はして欲しくないし、我々は『ワンチーム』の哲学に基づいてレースに集中し、前進したいと思っているんだ」

 先ごろの混乱について、マクラーレンとホンダの間で何らかの話し合いが持たれ、共通認識が得られたことは想像に難(かた)くなかった。『雨降って地固まる』という表現が適切かどうかは別としても、これを機にマクラーレンとホンダがワンチームとして次のステップに進んだことは間違いない。

3 / 5

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る