今年の鈴鹿8耐に見た「ヤマハvsホンダ」時代、再来の予感 (4ページ目)

  • 西村章●取材・文 text by Nishimura Akira  竹内秀信●写真 photo by Takeuchi Hidenobu

 せっかく築いたアドバンテージを振り出しに戻してしまう痛恨のミスだったが、それでも彼らは集中力を途切れさせることなく高水準の走りを維持した。最後は中須賀からスミスへマシンを託し、夕闇の鈴鹿サーキットにヘッドライトを灯したヤマハYZF-R1が午後7時30分、トップでチェッカーフラッグを受けた。

「バイクの上でフィニッシュラインを通過するのは格別の経験だった。来年もぜひ、ここへ戻ってきたい」とスミス。ペナルティの原因を作ってしまい、アドバンテージを削いでしまったエスパルガロは、全員の力で掴んだ勝利に心から嬉しそうな笑みを見せた。「僕のミスでチームの仲間には申し訳ないことをしてしまった。だから、次に自分の担当でコースへ出たときには200パーセントの力で走ったんだ。伝説的なライダーたちが活躍してきた8耐で自分たちが勝ったことで、歴史に1ページを刻むことができたと思う。とても光栄だ」。

 チームリーダーの中須賀は、ファクトリー活動を再開した初年度に勝利をもたらすことができて、それがなにより嬉しい、と述べた。

「8耐はいつも指をくわえて見ている側で、3位でいいから表彰台に上がりたいといつも思っていた。それがいきなり、1番高いところに上がれて本当に幸せです。自分がしっかりやれば、ポルとブラッドリーも頑張ってくれると信じていたので、19年ぶりに勝てて本当に嬉しく思っています」

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