今年の鈴鹿8耐に見た「ヤマハvsホンダ」時代、再来の予感 (3ページ目)

  • 西村章●取材・文 text by Nishimura Akira  竹内秀信●写真 photo by Takeuchi Hidenobu

 ことほど左様に、8耐では誰にも想像し得なかったことがいとも簡単に、そしてあっという間に発生する。だが、それこそが8耐であり、これらの不確定要素をも乗り越えることができなければ、8耐の優勝を掴み取ることができない。そしてそれこそが、このレースの最大の難しさであり、魅力でもある。

 ちなみにHRC(ホンダ・レーシング・コーポレーション)によれば、ストーナーが転倒をする前のマシンは、スロットル開度が26°であったことをデータが示していたということだ。原因の詳細を究明し、判明すれば発表をする予定だという。

 一方、ポールポジションからスタートしたヤマハは、中須賀がスタートライダーを務めたがスタートで大きく出遅れてしまい、オープニングラップでは20番手前後に順位を落とした。そこから懸命の追い上げで、ハイレベルのラップタイムを連発しながら前方を追走していった。他チームがライダー交代でピットに戻っても、中須賀は長くコース上に残って周回を続ける頭脳的な戦略で順位を回復し、ブラッドリー・スミスへ交代。スミスも周回遅れを巧みにかわしながら切れ味の鋭い走りでトップに浮上し、エスパルガロにマシンを託した。

 だが、彼らとて以後の周回で安定してアドバンテージを築いたわけではなく、いくつかの波乱も待ち受けていた。今回の大会では転倒車の処理のため、セーフティカーが計6回導入された。セーフティカーがコースにいる間、その後ろについて走る選手たちは追い越し行為を禁止されているが、エスパルガロが不注意でその禁を破ってしまったため、スミスの走行時間にピットへ戻って一定時間バイクを停止させる「ストップアンドゴー」のペナルティを受けることになった。

3 / 5

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る