【F1】ホンダ総責任者が語った「後半戦はすごい」の根拠

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki 桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

 その言葉を聞けば、誰もがこの不振の原因がすべてホンダにあるように思い込む。いや、この数カ月にわたって彼らがそう仕向けてきた結果、すでに世間ではホンダのパワー不足・信頼性不足ゆえにマクラーレン・ホンダが低迷しているというイメージが刷り込まれている。

 だが、それは事実とは異なる。

 会見が終わるなり、チーム関係者専用の2階へと降りた新井は、ブリエの発言に対して不快感を示した。いつもは会見が終わるとそのまま日本メディアとの取材時間になるが、この日は2階に降りたまましばらく姿を見せなかった。

 これまで、事実と異なるイメージ操作とも言えるようなコメントが散々繰り返されてきた。それに対して新井は、「我々はひとつのチームとしてやっているのだから、レッドブルとルノーのように味方同士で批判し合うようなことはしたくない」と言って耐えてきたが、さすがに我慢の限度を超えつつあるのだ。

「速さの50%以上はパワーユニットで決まるなんて、それが事実でないことは走っているマシンの姿を見ればわかると思いますけどね......。クルマが(コーナーで)全然曲がっていないでしょう? だからアクセルオンするタイミングが遅くなるし、そうなると最高速も伸びないし、タイムも出ないんです。つまり、ダウンフォースが足りないから速く走れない。そのあたりは、しっかりと見て本当のことを伝えて頂きたいです」(新井)

 オーストリアGP1周目の事故による破損を受けて、フェルナンド・アロンソのマシンには過去のレースで使用していたパワーユニットが搭載された。レース序盤でリタイアしたバトンのマシンは、今後の運用計画を踏まえて同じく使用済みコンポーネントに載せ換えた。これらは、最新のコンポーネントと同じ仕様で、カナダGPで起きた点火プラグや排気系のトラブル対策も施されたものだ。

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