【F1】振り出しに戻ったマクラーレン・ホンダは再浮上できるのか

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki 桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

「FP-2(フリー走行2)の後に、フェルナンドのパワーユニットにダメージの兆候が見つかり、このままいくと決勝を走り切れないだろうということでICE(内燃機関)の交換をしました」

 これで、年間4基までに制限されているICEの4基目の投入を余儀なくされ、交換作業のため土曜朝のFP-3(フリー走行3)の大半の時間を失うこととなった。さらに、FP-3ではジェンソン・バトンのパワーユニットにもトラブルが発生して途中でマシンを止めた。

「ERS(エネルギー回生システム)のトラブルということで止めたんですが、結果的にICEにダメージがあるようだったので、『予選は無理』と判断しました。2台それぞれまったく異なるトラブルです」

 バトンはパワーユニット交換のため予選出走を断念し、最後尾から決勝に臨むこととなった。さらにターボチャージャーとMGU-Hは年間使用可能数を超える5基目の投入となったため、合計で15グリッド降格のペナルティが科され、最後尾スタートのバトンは、降格の代わりにドライブスルーペナルティとして消化することとなった。

 そんな「踏んだり蹴ったり」の状態で臨んだ決勝で、マクラーレン・ホンダは2台ともに前述のように苦しい戦いを強いられた。そして、2台そろってパワーユニットのトラブルでリタイアという最悪の結末を迎えてしまった。

「フェルナンドの方は排気温度が上昇して何かが起きたのだろうと判断して止めました。ジェンソンの方はセンサーで監視している他のところの温度が上がったので、このまま走るとどこかにダメージが出るということでピットインしてリタイアしました。これもおそらくはエキゾーストに起因するものですが、フェルナンドとはまったく違うものです。同じ問題だったらまだいいのですが、違うトラブルが出るというのは、結構厳しいですね……。今回投入した開発部品ともまったく無関係です。むしろそれが原因だったらまだ良かったかもしれない……」

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