【エアレース】室屋義秀、第3戦で10位もトップ争いへ視界良好

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki

 そして迎えた勝負のフライト。

「ピートがベストタイムを出したのは分かっていたので、結構プッシュして(攻めて)いった」という言葉どおり、室屋は終盤までマクロードを上回るタイムで来ていたが、残り4分の1というところで痛恨のパイロンヒット(※)。室屋の第3戦はこの瞬間、あっけなく幕を閉じた。
※パイロン型の障害物(エアゲート)に機体が触れてしまうこと
決勝は、パイロンヒットのためラウンド・オブ・14で敗退した室屋義秀(c)red bull決勝は、パイロンヒットのためラウンド・オブ・14で敗退した室屋義秀(c)red bull 予選までの展開を考えれば、あまりに早過ぎる敗退である。室屋が悔しさを抑えられないのも無理はなかった。レース後の室屋が「ちょっと残念」に続けて口にした言葉にも、まだまだ悔恨がにじんでいた。

「(飛行機から)降りた後は結構エキサイトするくらい(の悔しさ)で。パイロンヒットは防げるものだったし、機体の準備が悪かったわけではないから。ヒートアップした戦いを勝ち抜くにはこのへんが課題になる」

 予選2位の室屋に続き、予選1位のボノムもラウンド・オブ・8で敗れるなど、波乱続きだった今回のレースで優勝したのは、予選6位のハンネス・アルヒ(オーストリア)。大混戦を制したのは、過去に年間総合優勝(2009年)も果たしたことのある、熟練の元・世界チャンピオンだったわけである。

 パイロットの技術と機体性能の両面で、室屋がコンスタントに上位を狙えるだけの力を備えているのは間違いない。しかし、「感触的にはもう十分に手応えが出てきているが、それだけでは勝ち抜けない」と、室屋は言う。

 室屋の強さは、誰もが認めるレベルにまで来ている。当然、対戦相手は警戒を緩めない。1シーズンを通して上位を争った経験がない室屋にとって、他のパイロットからのマークが厳しくなるなかを勝ち抜いていくのは容易なことではないのだ。

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