【F1】マクラーレン・ホンダ、モナコGP8位入賞の舞台裏

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki 桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

 その表情からは、久々に満足のいくレースを楽しんだことが伝わってきた。スタートから10位のポジションをキープし続けたバトンは、上位の脱落によって気が付けば8位でレースを終えていた。マクラーレン・ホンダは、6戦目にして初めてのポイント獲得を果たしたのだ。

8位入賞で今季初のポイントを獲得したジェンソン・バトン8位入賞で今季初のポイントを獲得したジェンソン・バトン「正直言って、8位でフィニッシュできるなんて想像していなかったよ。今日はチーム全員にとって素晴らしい日になったね。もちろん8位で大喜びするわけにはいかないけど、僕らが前進したことは間違いない。2月のテストではトップから5秒、開幕戦でも3.5秒から4秒も遅れていたんだから。今日のペースは良かったし、最速ではないにしても彼らからそれほど大きく離されていたわけではない。ドライブするのも楽しかった。僕らはそれだけ大きく進歩したんだ。8位というポジションに喜んでいるのではなくて、自分たちのペースの良さとレースの中身はハッピーなものだったよ」

 レースを終え、マクラーレン・ホンダのスタッフたち、とくに今年からチームに帯同し全レースを転戦してきたホンダのスタッフたちに安堵の表情が浮かんでいた。

「やっとポイントが獲れました。ここまでが長かった……」

 あるエンジニアは、ホッとした表情でしみじみとそう語った。

 世間からの期待と非難に晒されながら、ここまで一歩ずつ進んできた道のりの苦しさはいかばかりだっただろうか。新井も「シーズン序盤の5戦でいろいろと勉強して、ようやくスタートラインに立ったかなという感じです」と胸をなで下ろした。

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