【F1】マクラーレン・ホンダ、モナコGP8位入賞の舞台裏 (2ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki 桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

 新井も「バーレーンであれだけ良い形に仕上がっていたのに、チーム全体が『あれあれ、どうしちゃったの?』というような状態でした」と述懐する。

 それを受けてマクラーレン・ホンダは、スペインGP直後にバルセロナで行なわれた2日間のテストで徹底的なデータ収集を行ない、原因究明に乗り出した。

「クルマはほとんど計測器みたいな状態で、タイムは気にしないでデータ収集に徹しました。いろいろなボディワークの種類も試して詳細なデータを収集しましたし、前後ウイングとか車高の調整といった一般的なことも含めてやりました。スペインGPにはパワーユニット側も車体側もアップデートをいろいろ持ち込んできたわけですけど、残念ながら良い結果が出ませんでした。それに対してここで技術的にきちんと詰めておかないと次につながりません」(新井)

 このテストで1日100周を走り込んだバトンは、モナコには満足げな表情でやって来た。

「スペインGPはフラストレーションの溜まるレースだったから、直後は感情的にもなってしまった。だけど、その後にテストをして1日中走り続けて色んな事を試し、多くを学ぶことができたのはよかった。とてもポジティブなテストができたし、今週のレースにはこれまでで最高の形で臨めているよ」

 しかし、モナコGP初日となる木曜のフリー走行開始時間である午前10時を迎えても、バトンのマシンはまだピットガレージで整備作業を受けていた。朝から始めたERS(エネルギー回生システム)周りのチェックに予想以上の時間がかかったことで、貴重な走行時間の大半を失ってしまい、さらに午後のフリー走行は雨になってしまった。クルマのフィーリングも思わしくなく、バトンの表情は曇っていた。それでも、ここで2日間のテストで得た成果がものを言った。

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