2015.05.19

念願のエアレース日本大会で室屋義秀が笑顔。
「人生で一番いい日」

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki photo by Matsuoka Kenzaburo

 それが分かっていたからこそ、室屋は努めて明るく、アイコンとしての役割を担ってきた。

記者会見で笑顔を見せる室屋義秀 本来の室屋は、取材嫌いとまでは行かなくても、積極的に表に出たがるタイプではない。根底にあるのは競技に集中したいというアスリートとしての強い意志だ。およそ6年半前、初めて室屋にインタビューしたとき、こう語っていたのを思い出す。

「パイロットとしては勝つことだけを考えたい。メディアも含めて周りに何もなく、インタビューとかが一切ないのが望ましい。たぶんパイロットは現場に入るとそうなる。競技だけに(集中したい)というのが本音」

 実際、これまでの室屋はレース前になるとどこかピリピリしていることが多かった。口数は少なく、取材を避けるような様子さえあった。

 しかし、今回は違った。室屋はいつになく明るかった。

 室屋はレース前に「優勝を狙う」とか、「表彰台が目標」などと口にすることは絶対にない。常々、「あくまで順位は相対的なものであり、自分たちが持つ100%の力を出すことこそが重要」と考えているからだ。

 地元開催のレースを前にしてもそのスタンスが変わることはなかったが、強気で前向きなコメントが多かったのは確かだ。

 たとえば、「幕張は過去にエアショーで飛んでおり、風の条件が把握できているので有利」だと地の利を強調し、また日本開催のレースへ向けて新型機を導入したことについても、十分な調整期間が得られなかったにもかかわらず、「いい仕上がりで満足している」と語っていた。