【F1】「ここからダッシュ」。マクラーレン・ホンダに入賞の現実味 (5ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki 桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

「クルマとしては着実に良くなっていると思います。少なくともパワーユニットに関しては自分たちの思ったものを盛り込んできましたし、ドライバーにも評価してもらえました。ただし、(空力面とのバランスで)クルマとしてまとめ上げられなければ意味がない。パワーユニットだけで走っているわけじゃないし、クルマとして完成していないということは、チームとしてダメだということですから」

 そう話す新井の横を、アロンソとバトンが早足に通りすぎ、エンジニアオフィスへと入っていく。今のマクラーレン・ホンダに必要なのは、不甲斐ない結果に対して落胆することでもなければ苛立ちを露わにすることでもない。失敗から学び、1000分の1秒でも前に進むために努力することだ。

「(トップと)どのくらい差が開いているかはだいたい想像できています。特効薬はないし、技術で埋めていくしかありません。なるべく最短距離で頂上までの登山ルートを見つけるしかないんです。回り道をしていたらシーズンが終わってしまう。ここまでに失った時間は大きくて、それを取り戻してきているところです。少しずつ良くなってきているとは思いますが、ここからダッシュして残り15戦で上のほうで戦えるところまで行かないといけない」

 スペインGPが終わってもチームはバルセロナに残り、同地で行なわれるテストに参加する。年間4基の制約に縛られないこのテストは、マクラーレン・ホンダにとって極めて貴重な時間となるはずだ。“山頂”を目指すための大きな足がかりとなることを期待したい。

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