【F1】「ここからダッシュ」。マクラーレン・ホンダに入賞の現実味 (4ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki 桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

「毎晩、夜間作業禁止時刻ギリギリまでやっています(苦笑)。努力をすれば必ず報われると思って全力でやっています」

 その甲斐あって、決勝の序盤ではアロンソが冒頭のような快走を見せた。ブレーキ不調によるリタイアは不運としか言いようがないが、入賞圏を狙えるほどの戦闘力の向上が証明できたことは前向きに捉えるべきだろう。第5戦スペインGPでもマクラーレン・ホンダはさらに一歩前へと進んだことは確かだ。

 ただし、ジェンソン・バトンのマシンはスタート直後から不調を抱えていた。

「スロットルに触れるたびにホイールスピンするんだ。こんなの普通じゃない!」

 そう無線で訴えるバトンは、スタートで出遅れて集団の中でステアリングと格闘していた。

「自分のキャリアを振り返ってみても、ワーストレースだったね……。運転しているのが恐いくらいだったよ。僕の人生で最も恐いレースのひとつだった。金曜のロングランではクルマはとても良かったのに……」

 レース後、苛立ちを抑えながらバトンは言った。前日の予選で抱えた空力面とパワーユニット制御面のアンバランスがさらに悪化したのか、それとも他のところに原因があったのか。新井は「パワーユニットとしては何も問題はなかったはずだ」と言う。レース週末を通してホンダのパワーユニットはノートラブルだった。信頼性についてはある程度のメドが立ち、性能面でも一定の向上が確認できた。しかし、それで満足はできないと新井は言う。

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