【F1】いよいよ欧州ラウンド。マクラーレン・ホンダの秘策は? (2ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki 桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

 開幕前のテストではトラブルが次々と起こり、パワーユニットは熟成不足のまま開幕を迎えた。そして、想定外の暑さに直面したオーストラリアGPではセーフモードでの走行を強いられ、ただ黙々と走ることしかできなかった。続く第2戦マレーシアGPではマシンを壊さないよう2台ともにリタイアを選んだが、途中まではライバルとバトルができるところまで進歩を見せた。第3戦中国GPでは、トップとの差をはっきりと突きつけられたが、初めて2台完走を果たした。そして、第4戦バーレーンGPでは、課題だった予選一発の速さも増し、初のQ2進出――。マクラーレン・ホンダは少しずつ、着実に前進してきたのだ。

 ヨーロッパラウンドの開幕となる第5戦スペインGP(5月10日決勝)には、どのチームも大きなアップデートを投入してくる。ホンダのパワーユニットにも「大型アップデートが投入される」と一部で報じられ、「大きな期待を寄せている」というチーム関係者のコメントも伝えられたが、新井はそうした報道に対して、「一気に情勢を変えるような魔法はない」と否定する。

「入れられるアップデートを順次入れていくというスタンスです。スペインGPは(特別な区切りではなく)レースごとに進歩してきたその延長線上にあるわけです」

 今のF1では、パワーユニットの改良は原則禁止となっている。各メーカーがFIA(国際自動車連盟)に仕様を登録し、それと同じものをドライバーひとりにつき年間4基だけ使用することが許されている。単純計算で1基あたり3200~4000kmを走破しなければならないという、厳しいレギュレーションだ。

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