【F1】ホンダ総責任者が振り返る序盤戦。「まだ山の裾にいる」 (2ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki 桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

 中国GPと同じように見えても、中身は大きく進化したMP4-30でマクラーレン・ホンダはバーレーンGPに臨んでいたのだ。バトンはこう語った。

「バーレーンは僕らにとって難しいレースになる。ロングストレートが多いサーキットのレイアウト的にも、暑さ的にもね。ただ、ヨーロッパに戻る前にもう1ステップ前進しておきたい」

 午後6時に予選Q1が始まると、上位勢がミディアムタイヤでコースインするなか、フェルナンド・アロンソがソフトタイヤを履いてアタックに出ていった。今季まだQ1突破を果たせていないマクラーレン・ホンダにとっては、ソフトタイヤをセーブするよりも1000分の1秒でも速いタイムを記録することに傾注するしかない。

予選でQ2進出を果たしたフェルナンド・アロンソ予選でQ2進出を果たしたフェルナンド・アロンソ ストレート主体のサーキット特性に合わせて、ホンダのエンジニアたちはMGU-H(※)とMGU-Kをいかに効率良く使うかを追究してきた。限られたバッテリー容量と放電規制のなかで、どこで充電して、どこでパワーに回生するのか、ということだ。
※MGU-H =Motor Generator Unit - Heat/排気ガスから熱エネルギーを回生する装置

 これまでの3戦で、ライバルチームに比べて予選でのタイムの伸びを欠いていたのは、パワーユニットをフルに使い切ることができていなかったからだった。

 1回目のタイムアタックで11番手に付けたアロンソは、手応えを感じ取っていた。2回目のアタックでも新品のソフトタイヤを投入し、1.2秒ものタイムアップを果たして9番手。ついにマクラーレン・ホンダとして初のQ1突破を果たした。この結果に、新井康久F1総責任者も納得の様子だった。

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