【F1】総責任者が語る「マクラーレン・ホンダに不足しているもの」 (3ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki 桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

 金曜のフリー走行は順調に進んだ。新たなフロントウイングなどさまざまな空力パーツを交換しながらデータ収集を進め、空力・メカニカルの両面でセットアップも大幅に進んだ。約1カ月ぶりのコクピットに収まったアロンソも、1日で計45周という内容に爽やかな笑顔を見せた。

「数周走るごとにトラブルが出てマシンのどこかをいじらなきゃならなかった冬のテストとは違って、今日はノートラブルで45周も走ることができた。マシンの前進を確認することもできたし、とても楽しい1日だったよ」

 マクラーレン・ホンダとしては、予選でQ2進出を果たすことも可能かもしれないと予想していた。しかし、セクター1を自己ベストタイムで通過したアロンソの最終アタックはセクター2で失速。17位に終わった。ジェンソン・バトンもタイムをまとめられず18位に沈んだ。

 予選では、1周のアタックにパワーユニットのポテンシャルを100%引出さなければならない。まだERS(エネルギー回生システム)の使い方を含めて熟成が足りないホンダの苦しさが露わになったといえる。マクラーレンの今井弘スペシャルプロジェクツ上級エンジニアも「パワーユニットだけではなく、マシン全体のコントロールも含めてですが、予選に関してはまだいろいろと工夫の余地があります」と認めている。

 しかし、決勝レースでマクラーレン・ホンダは見違えるような速さを見せた。アロンソはフォースインディアと激しいバトルを繰り広げ、徐々に順位を上げていく。バトンは「トラフィックに引っかかっている状態で、タイヤを傷めてしまった」(今井エンジニア)と言うが、それは裏を返せば周囲よりも速く走る力があったということでもある。

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