【MotoGP】36歳・ロッシが語り尽くした
「この先何年も走り続けたい」

  • 西村章●取材・文 text by Nishimura Akira photo by YAMAHA MOTOR RACING

 さらに、このシームレスギアの投入は、昨年からロッシが指摘してきたもうひとつの不利を払拭する効果もあるという。

 昨シーズンの後半戦になると、ロッシは、ヤマハのほうがホンダよりもレース終盤でタイヤの摩耗が激しいことをよく指摘していた。それが旋回時のわずかなタイム差になり、マルケスに距離を開かれていく要因になっている、というわけだ。その課題は、このプレシーズンでどれほどの改善を果たしたのだろうか。

マシンの状態について前向きな発言をしたロッシマシンの状態について前向きな発言をしたロッシ「新しいギアボックスを得たことで、この領域はだいぶよくなったと思うよ。最も重要なな要素、といってもいいだろうね。もちろんまだ充分じゃないし、さらに改善を進めていかなければならないけれどもね」

 これらの言葉からうかがえるのは、ロッシはいまだに勝利を求める高い意欲や貪欲さを失っていない、ということだ。繰り返すが、今年の2月16日にロッシは36歳になった。20代前半の頃のような体力は、おそらくすでに望めないだろう。だが、その一方で、1996年から20年間ロードレース界の頂点を走ってきた経験は、他の誰にも持ち得ない財産だ。現在の自分の年齢からくる有利と不利を、ロッシ自身は、はたしてどのように捉えているのだろう。

「何が不利で何が有利なのか、自分ではわからないよ。若い頃は常に高いレベルの走りを維持できていたし、いまも当時と同じようにレースを楽しみたいと思っている。この気持ちだけは絶対になくならない。コースを離れているときでも、どうやって速く走るかということばかり考えているんだ。レースに賭ける情熱は昔と変わらないし、バイクにも乗れている、と自分では思っている。まだまだこの先何年も走り続けたい。今は、そういう気持ちなんだよ」

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