【F1】マクラーレン・ホンダは「周回遅れ」ではなく「2週遅れ」!?

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki  桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

 散々な結果だった予選後、厳しい質問が飛び交った記者会見を終え、少し憔悴(しょうすい)しているように見えた新井のもとに、バトンがやって来て肩を組み、励ますように言った。
会見で厳しい質問を浴びた新井康久ホンダF1総責任者会見で厳しい質問を浴びた新井康久ホンダF1総責任者
 「大丈夫かい? 2週間あるよ、2週間だ」

 土曜の時点で、オーストラリアGP決勝は彼らにとってライバルとの戦いの場ではなくなっていた。2週間後の第2戦、マレーシアGPに向けて気持ちは切り替わっていたのだ。

 日曜の決勝、マクラーレン・ホンダは2台ともにERSのアシストが十分に使えないため燃費が苦しく、遅いペースでの走行を強いられた。最後になってようやく、バトンが自己ベストタイム(トップから2.4秒差)を記録したが、彼らにとってそれはレースではなく、まさにグランプリの場を利用した「テスト」だった。それがマクラーレン・ホンダの開幕戦であり、リスクを冒さずに走ったからこそ、完走できたのだった。

「我々は実戦をテストの場としなければならなかった。メルセデスAMGは3年かけてパワーユニットの開発にあたっており、対するホンダは18カ月しか時間的猶予がなかった。ホンダのパワーユニットには、まだまだポテンシャルが秘められている」

 マクラーレンのレーシングディレクター、エリック・ブリエはそう語り、ホンダを擁護した。さらに、完走したバトンもエールを送る。

「僕らはまだ速くないし、やらなければならないことがたくさんある。11位という結果に満足するわけにはいかない。でも、11位完走は今の僕らにとっては素晴らしい結果だ。これだけアグレッシブなパッケージを採用すれば、最初は苦労するもの。今日のデータが、次に向けて大きく進歩する手助けになる。もっとパワフルで素晴らしいパフォーマンスを手に入れられることに期待したい」

 2週間後のマレーシアGPでリベンジを。マクラーレン・ホンダの戦いは続いていく――。

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