【MotoGP】天才マルケス「成長を続ける理由と唯一の弱点」

  • 西村章●取材・文 text by Nishimura Akira photo by Nishimura Akira

 ルーキーらしからぬ驚異的な走りで注目を集めた2013年や、史上最年少王者の初々しさを残していた2014年のプレシーズンと比較すると、もはや余裕のようなものすら感じられるコメントだ。その一方で、「乗り方を積極的に変えていく」と言うマルケスは、さらに速く走るためなら自分のスタイルに拘泥(こうでい)しない貪欲さも併せ持っていることがわかる。

 それは、「マルクは、とにかく人の話をよく聞く」と言うHRC副社長・中本修平の言葉からもうかがえる。2013年にマルケスが史上最年少チャンピオンを獲得した際、中本は「彼から上がってきた要求に対して、『これはバイクの特性だから変えられないんだよ』と言うと『わかった、じゃあそれは自分でなんとかする』と言って進んで順応をしてくれる。それが彼の最大の強みだと思う」と述べていた。

 昨シーズン終了後、2015年の準備を進める中本に、マルケスのこのアプローチに変化があったのかどうか再度訊ねた際にも「チャンピオンを獲ったからといって驕ることはないし、取り組み方はまったく変わらない。今でも一所懸命勉強しているから、今後もまだまだ伸びていくと思う」と話している。

 HRCで中本の右腕としてマシンの開発を束ねる国分信一・開発室長は、「我々のバイクが、ライバルよりアドバンテージがあると思ったことは一度たりともありません」と言う一方で、マルケスの柔軟で吸収力の高いライディングについては、「彼を見ていると、世代が変わったんだなと思います」とも話す。

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