課題山積。マクラーレン・ホンダは無事に開幕を迎えられるのか? (3ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki photo by Yoneya Mineoki

「150キロくらいでとてもゆっくり走っていたんだ。そしてターン3を立ち上がったところで突然右にそれて、イン側のウォールに何度かヒットしたんだ。何が起きたのか、僕にはわからない」

 事故後、マクラーレンのチームスタッフに目撃情報を提供したことからも、ベッテルがアロンソ車の挙動に尋常ならざるものを感じたことは間違いない。パドックでは「感電やバッテリー周りのトラブルではないか?」という噂も流れたが、チームはこれを否定している。

 アロンソは救急車でサーキット内のメディカルセンター運び込まれ、精密検査のため救急ヘリでバルセロナ郊外の総合病院へ搬送された。検査の結果「異常なし」と診断され、病室での元気な姿をSNSで発信したが、26日から始まる最終テストには参加しないと発表された。

 2月10日、東京のホンダ本社で開かれた記者会見では、ドライバーのジェンソン・バトン、アロンソと、ロン・デニス代表は口々に「我々はいつか必ず勝てる」と語っていたが、同時に「どれだけ時間がかかるかは分からないが……」と付け足すことも忘れなかった。

 日本メディアの多くは前向きな発言と受け取ったようだが、2月上旬のヘレス合同テストの現場で感じられた「予想以上にスムーズに走れて、しかも速い」というポジティブな雰囲気からすれば、いささかトーンダウンしている印象を受けた。

 そして、今回のバルセロナ合同テストでは、バトンが「まだ十分に走れていないし、ハッピーじゃない。(3月の)開幕戦で勝てるクルマを用意することはできないだろう」と、温厚な彼には珍しく苛立ちを露(あら)わにしていた。

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