エアレース・開幕戦で室屋義秀6位。次戦の日本で飛躍の予感! (2ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki photo by Asada Masaki

 予選での3位は、室屋にとって自己最高順位。自ら「すごく満足している」と振り返った会心のフライトは、エアレース参戦4シーズン目の室屋を、これまで経験したことのない高みにまで引き上げていた。

 予選を終え、「明日は会場が盛り上がると思うが、自分自身はあまりヒートアップしないようにしたい」と言い、あくまで「機体の性能を目一杯引き出す」ことだけに集中する室屋。言い換えれば室屋の愛機、エッジ540V2の性能を考えると、大幅にタイムを縮めるのは難しいということでもある。室屋の頭の中では、「あと0.4秒くらい」というのがタイム短縮の限度だった。

 ところが、室屋は14日の最初のフライトとなったラウンド・オブ・14で、圧巻のタイムを叩き出す。

 予選順位により1位対14位、2位対13位......、6位対9位、7位対8位と1対1の対戦でタイムを競い、勝者7名と敗者のなかで最速タイムの1名が勝ち上がるラウンド・オブ・14。室屋はここで前日の予選タイムから0.8秒以上も縮める58秒280を記録し、予選12位のマルティン・ソンカ(チェコ)を退けたのである。

今季、室屋義秀(右)のチームに加わったベンジャミン・フリーラブ(左)今季、室屋義秀(右)のチームに加わったベンジャミン・フリーラブ(左) 今季、室屋のフライトの質が格段に向上したのには理由がある。エアレースが休止していた3年間(2011~13年)、技術だけでなくメンタル強化にも取り込んだことはそのひとつだが、今季から「チーム室屋31」に加わったレース・アナリスト、ベンジャミン・フリーラブの存在が大きく影響している。

 フリーラブはデータ分析のスペシャリスト。Gやスピードなどさまざまなデータを解析し、実際のレース(コース取りやターンの角度など)に落とし込む。「風の強さがわずか1m変わるだけでも、レース機にとっては大きな違い」と語るフリーラブが、その都度具体的なアドバイスを送り、室屋がレース機の性能を最大限引き出すフライトにつなげるというわけだ。

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