目指すは頂点。マクラーレン・ホンダが貫く「攻めの姿勢」 (2ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki 桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

 つまり、彼らは最初からトップを狙いに来ているのだ。

 初年度だから参加することに意義がある、コンサバティブに中団で完走を狙うといったようなことは一切考えていない。やるからには、初年度から頂点を獲るつもりでいる。

「そういう目標で開発をしてきましたし、トップを争えるクルマを作るんだという考え方でやってきました。パズルのピースはとてもいいものが揃って、今はそれを組み立てているところです。うまくはまらなかったりして苦労している部分もありますが、残り1カ月半でそれがきちんと組み上げられるかどうかです。時間的なプレッシャーはかかっていますが、自分たちの考えが間違っているとは思っていないし、それを貫かないといけないと思ってやっています。だから、ファンの方も(開幕戦まで)もう少しだけ我慢して温かく見守っていて頂きたいです。今回のヘレスでガッカリするのはまだちょっと早いですよ」

 そう言って新井は微笑んだ。

 第二期(1983-1992)の栄光と、第三期(2002-2008)の失望。かつてのような圧倒的強さを誇るマクラーレン・ホンダの復活を願う気持ちと、第三期のような無様な戦いが繰り返されるのではないかという不安。ホンダのF1復帰に際して、ファンは複雑な心境で見守っている。

 そんなことはホンダの誰もが分かっている。そのうえで、彼らは新たな歴史を作ろうと必死に努力を重ねている。

「2009年に投入されるはずだった幻のエンジンは、そういう声に対してちゃんと応えられるだけの性能を持っていたんです。ですから、やっている人たちは無念だったと思います。ただ、技術的な目標を達成したという意味では、目的は果たせていた。あとは、2009年に勝ち獲るはずだった"置いてきたもの"を今年また獲りにいこう、という思いでいます。

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