手応えあり。ホンダF1総責任者が語った新マシンの仕上がり (3ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki 桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

 2013年の秋口に最初のテストユニットに火が入って以来、バージョン2、バージョン3を経て、2014年9月にはERS(エネルギー回生システム)のすべてを含めた全コンポーネントを接続してのベンチテストが始まった。昨年11月のアブダビで走行したテスト車両MP4-29H/1X1は、そのテストユニットを詰め込んだものだった。

「アブダビのテストは、走れる形にはなったけど、あれは本当にチェック用でしかなかったんです。実際にテストをしたら立ち上げがうまくいかないとか、ノイズの問題とかいろんな問題が起きて、『う〜ん、苦しいな』と。でもそれは、完成車にしなければ分からないことですし、いろんなことがたくさん分かりましたから、やってよかったですね。ヘレスでも問題は出ていますけど、マイナーなものばかりで、アブダビで『予習』ができたからこそ、ヘレスでは致命的な問題は出なかったんです」

 こうして2015年を戦うMP4-30には、アブダビで走ったマシンとはまったく異なる実戦仕様のパワーユニットRA615Hが搭載された。

 その初走行となったヘレス合同テストは、当初からシステムチェックのための走行と位置づけていた。真新しいパワーユニットに限らず、斬新なコンセプトでデザインされた車体側もチェックすべき項目は多く、風洞とシミュレーションと実走状態の誤差を確認するための気流データ収集、色付きオイルを塗布して気流を可視化するフロービズなど、空力面でのテスト走行も重ねられた。

 その過程で、車体側にもパワーユニット側にも細かなトラブルが相次いだが、それもチームとしては想定の範囲内だった。

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