マクラーレン・ホンダ、トラブル続きも「大化けの可能性」

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki photo by Getty Images

 初日の3周で得たデータを元に、ホンダのエンジニアたちは徹夜で翌日の準備作業を行なった。マクラーレン側も2交代制で臨んでおり、夜担当のメカニックたちが作業に当たって、早朝にはエンジンに火が入るところまで確認を済ませた。残る1日で可能な限り走り込んでデータ収集を進めようと、マクラーレンとホンダはさまざまなプログラムを用意していた。実際に走らなければ分からないことや、そこから学べることは山のようにある。

 しかし、2日目のテスト開始直前にパワーユニットを始動しようとすると、うまくいかなかった。スターターを差し込めば入るはずのマシン電源が入らない。そのため、コントロールユニットが起動せず、エンジン本体を回すこともできなかったのだ。

 マクラーレンのエンジニアによれば「電気系統のトラブルで、ホンダではなく我々の車体側の問題だ」という。ドライバーのストフェル・バンドールンがTシャツ姿のままパドックで待っており、すぐに走り出せる状況でないことは明らかだった。最後はギアボックスを取り外してマシン全体の組み立てを確認するところまでいき、ようやくエンジンに火が入ってこの日初めてのコースインを果たせたのは、午後4時28分になってからだった。

「明日は1周でも多く走りたい」

 そう語っていた新井総責任者の言葉どおり、チームはマシンをコースに送り出し、連続走行に入る予定だった。しかし、バックストレートに入ったところで電源が落ちてストップ。セッション時間はもう1時間ほどしか残されておらず、「確認作業をしてみたが電源が入らないようなので、それ以上の走行は断念した」(エリック・ブリエ、マクラーレン・スポーティングディレクター)。結局、走ったのは2日間で計5周。それも2周以上の連続走行は一度もできず、一度たりともメインストレートを通過することなく、タイムを計測することもできずに終わった。

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