【F1】ついに走り出したマクラーレン・ホンダ。開発は加速する

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki

シルバーストンを走ったマシンの車体にはHONDAのロゴ (c)Hondaシルバーストンを走ったマシンの車体にはHONDAのロゴ (c)Honda 14日のシルバーストンのテストでは無事に火が入り、ホンダのパワーユニットは最初のハードルを越えたといっていいだろう。今季のルノーのように、初めで躓くようなことがなかったのはポジティブな兆候と受け取っていいだろう。

 実は、MP4-29H/1X1に搭載されているのは、来季型マシンMP4-30に搭載される本番仕様とはまったく異なるパワーユニットだ。これは別々に開発されてきた全コンポーネントをひとつに接続して9月から試験が開始された“バージョン3”のテストユニットであり、ここで問題点を洗い出し、来年2月1日に走り始めるMP4-30用の最終仕様パワーユニットを開発するための土台でしかない。そして、開幕前のテストが始まってからもなお、来年2月末までに追い込みが行なわれることになる。

「秋に火が入ったレベルのテストユニットですから、まだまだ中途半端です。本番用とはかなり違ってきます。レイアウトはそれ以降も変わりますし、テストではまだ皆さんにはお見せしないと思います(苦笑)」

 マクラーレンとホンダはシステムチェックを終えて走れることを確認し、アブダビGP後の公式合同テストに参加すべくMP4-29H/1X1をアブダビへと送り出した。テストへの参加には全チームの承認が必要であるため、チーム側もまだ「我々としては走らせたい意向である」との発表に留めているが、2日間にわたってマクラーレン・ホンダとしてさらに一歩進んだテストを行なおうとしていることは間違いない。

 そこから得られるデータがパワーユニットの開発にフィードバックされて、さらに複雑な開発が進められるだろう。実際にマシンとパワーユニットを走らせるドライバーからのフィードバックも、ホンダが喉から手が出るほど欲しがっている要素だ。

「我々は1年遅れで参戦するから楽だろうと言われていますが、シミュレーションではない実戦のデータがないのは本当につらい。ドライバーが『ここでこうしてほしい』という要求にどうマッチングさせるかというのは、実際に走ってみないと分からないんです。想像ばかりが膨らんでしまいますし、そこが間違っていると、とんでもないことになりかねないですから」

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