【F1】メルセデスの僚友対決。王座に就くのはどちらか? (4ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki 桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

「今年はマシン性能を限界まで引き出すためにフリー走行で何度もブレーキのセッティングを試している。それがうまくいかなかったんだ」

 ロズベルグもブレーキバランスのセッティングが完璧だったわけではない。彼は予選Q3最後のアタック直前にそのことに気づいていたが、「マシンの限界点が変わってしまうリスクは冒すべきではないと判断した」ため、そのままのセッティングで予選を戦い、マシンの限界を超えないように走った。そして、その判断は正解だった。

メルセデスのワンツーフィニッシュだったブラジルGP。他チームを寄せつけない速さを見せたメルセデスのワンツーフィニッシュだったブラジルGP。他チームを寄せつけない速さを見せた 結局、ハミルトンはこのスピンによって逆に7秒ほど差を広げられてしまった。そこから再びプッシュしなければならなかったハミルトンと、彼が追いついてくるまでタイヤをいたわって走ることができたロズベルグ。どちらが有利なのかは一目瞭然だった。

「ルイスがスピンして後退してから、タイヤをセーブしておくこともできた。今日は3回ストップを成功させるにはタイヤの寿命がギリギリだっただけに、あれは大きかったね」

 こうしてロズベルグは3カ月半ぶりの勝利をつかみ獲り、自らが「タイトルコンテンダー」(王座に挑戦する者)であることを証明してみせた。

 一方、敗れたとはいえ、ハミルトンは心躍るバトルを終えて清々しい表情を見せた。

「チェッカーフラッグの瞬間までプッシュしたけど、ニコは完璧にディフェンスしたし、ミスも犯さなかった。素晴らしいドライビングだった。そして、彼を追う僕はレースをすごく楽しんだ。これこそモーターレーシングのすべてだよ」

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