【F1】メルセデスの僚友対決。王座に就くのはどちらか? (3ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki 桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

 それでも、ハミルトンは不敵な表情で言った。

「チャンスはそうないと思うけど、それを見つけ出したい」

 ハミルトンが狙っていたのは、ピットストップでの逆転劇だった。同じ戦略である以上コース上でのオーバーテイクが難しく、チャンスはそこにしかないと考えていた。

 レースが動いたのは26周目、ロズベルグが2回目のピットストップに向かった時だった。ここまでタイヤを温存していたハミルトンは、一気にスパートをかけた。アタックを仕掛けるハミルトンの勢いは、“ハンマータイム”という代名詞になるほど凄まじい。

 しかし1周のハードプッシュでは逆転に十分ではなかった。そのためチームは、もう1周のアタックを指示。その矢先、ハミルトンはターン4のブレーキングでリアタイヤをロックさせてバランスを崩し、痛恨のスピン。彼のタイヤはもう寿命が終わっていたのだ。

「1周だけプッシュするつもりでいたから、セーブしていたタイヤのグリップを完全に使い切ってやろうと思ったんだ。だからもう1周分は残っていなかった。今週で2回目のスピンだ。誰のミスでもなく、僕のミスだ」

 実はハミルトンは、前日のFP-3でも同じようなリアロックからのスピンを演じていた。その時はメインストレートからターン1へのアプローチだったが、タイヤのグリップレベルだけではなく、それに合わせたブレーキのセッティング調整も重要だった。

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