2014.11.11

【MotoGP】ロッシが語る王者マルケスを倒すための対抗策

  • 西村章●取材・文 text by Nishimura Akira 竹内秀信●撮影 photo by Takeuchi Hidenobu

「ミック・ドゥーハンの記録(年間15戦12勝:1997年)は、正直なところ、自分がそれを塗り替えてすごくうれしい、と思ってるわけじゃないんだ」とマルケスは淡々とした表情で説明した。

「あの当時は、今よりもレース数が少なかったからね。そういう意味では、彼のほうが僕よりももっと勝っていることになるんだと思う。記録という意味では重要かもしれないけど、そんなに大事なものでもないよ」

 たしかに、勝率で見た場合、ドゥーハンの15戦12勝は年間勝率8割で、マルケスの18戦13勝は年間勝率7割2分、ということになる。とはいえ、これだけの高水準の数字をそう簡単に達成できるものではないこともまた、事実ではある。さらに、マルケスの場合はまだ21歳の若者である。18歳の弟と兄弟でチャンピオンを獲得して、ともに抱き合って無邪気に喜びあう様子は、あどけなさすら漂わせている。

 来年も間違いなくチャンピオン候補最右翼であるこのマルケスに、ほかのライダーはいったいどうやって対抗していくのか。今年、年間ランキング2位で終えたロッシは、復活をおおいにアピールした一年になったが、それでも現在35歳である。この年齢で現在の水準を維持していること自体が驚異的だが、今後さらに強さを増していくマルケスに対抗するのは容易なことではないだろう。

 来シーズン、互角以上に戦うためには、今のロッシには何が必要なのか。単刀直入な問いを、本人に訊ねてみた。

「まず、今年から就任したチーフメカニックのシルバノ(・ガルブセラ)とチームは、1年の経験を経ることでマシンのセッティングデータを積み重ねることができた。今の自分たちのバイクは、とても速いし加速力もあるけれども、タイヤが消耗してきたときに、ホンダよりもパフォーマンスの落ち方が大きく、旋回性で大きく損をしている。また、マルクは自分と違うライディングスタイルで、彼の乗り方のほうがコーナーに早く入っていくことができる。その部分も改善したい。彼に勝つのは、もちろん簡単なことではないよ。でも、不可能じゃない。やれると思う」

 21歳であらゆる記録を次々と塗り替えてゆくマルケスも超人的だが、ピークを過ぎた35歳でも、さらに自分を改善して頂点を狙いつづけようとするロッシもまた、超人的だ。2015年も、このふたりを中心にシーズンの戦いが推移してゆくのだろう。