【MotoGP】ロッシが語る王者マルケスを倒すための対抗策 (2ページ目)

  • 西村章●取材・文 text by Nishimura Akira 竹内秀信●撮影 photo by Takeuchi Hidenobu

 午後2時に始まったこの日の決勝レースでは、開始前から黒い雲がサーキット上空を覆っていた。開始直後に雨がぱらついてきたために、コースサイドの各マーシャルポストでは〈フラッグ・トゥ・フラッグ〉を意味する白旗が提示された。この旗が提示されると、雨が激しくなってきた場合でも、ピットに戻ってレインタイヤを装着したマシンへ乗り換えることが許可されるため、レースは最後まで中断することなく進行する。

 選手とチームにとっては、路面の濡れ具合や天候の変化状況を見極めながら、今のまま走り続けるか、あるいは思いきってピットへ戻ってマシンを交換するのか。状況次第では、その判断が勝負の決定的な分かれ目にもなる。

 実際に、第14戦アラゴンGPでは雨が激しくなるなかでもマルケスはドライ用のスリックタイヤを装着したマシンで走行を続け、それが仇となって転倒リタイアを喫している。

 今回のレースでも、中盤周回にコースの一部でわずかに雨脚が強くなる場所があり、アラゴンのときのことが脳裡を掠めた、とマルケスはレース後に振り返っている。

「あのときは、スリックタイヤで引っぱりすぎたために転倒してしまった。最悪な戦略だったけれども、今回は最適な戦略をとることができたと思う」

終盤に後続を引き離したマルケスが、最終戦で今季通算13勝目を挙げた終盤に後続を引き離したマルケスが、最終戦で今季通算13勝目を挙げた 結局、雨は強まることなく、マルケスは2番手を走行するバレンティーノ・ロッシ(モビスター・ヤマハ MotoGP)との距離をぐんぐん開き続けた。ゴール2周前には5秒以上の差を築きあげ、冒頭に述べたとおりシーズン13勝目を達成してチャンピオン2連覇の一年を締めくくった。

 この自分の勝利よりも3歳年下の弟のチャンピオン獲得をなにより喜んだマルケスだが、年間最多勝記録更新(13勝)についても、さほど重要視をしていないのだという。

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