【F1】岐路に立つ可夢偉。来季のカギを握るのはホンダ (2ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki

「今はもうそのへんに関しては興味がないというか、考えてもしょうがないことですからね。乗れなかったのは残念やけど、チームの状況はしかたないし、考える時間も無駄やし、その時間があるなら来年に向けて考える方が意味はあると思うからね。

 こういう形で終わりを迎えてしまうことは残念ですけど、でも、ここまで15戦走らせてもらったことは幸運だったと思うし、感謝しています。2014年型パワーユニットの経験を積むことができたし、その経験があることが今後に向けた交渉の売りのひとつになりますからね」

 だからこそオースティンまで足を運び、パドックへ姿を見せる。逆に言えば、そうまでしなければ"あきらめない意思表明"ができないほどに、可夢偉の置かれた状況は厳しいものなのだ。

 ケータハムに見切りをつけたチームメイトのマーカス・エリクソンは、可夢偉と同じようにオースティンを訪れて早々にザウバーへと渡りをつけた。20億円近いスポンサーを持ち込んでのシート獲得だったと言われている。そして、同じく巨額のスポンサーを持つギド・ヴァン・デル・ガルデのザウバー加入も確定的と言われ、残り少なくなったその他の中堅チームの空席にも持参金付きドライバーが列をなしている。

 スポンサー額では彼らに対抗しようのない可夢偉には絶望的な状況となっている。

「正直言って、非常に厳しい状況です。2年前よりも厳しいです。現実問題としてお金の額が先行していますし、可能性があるだろうと思われるチームと話をしたところでは、かなり金額が大きかったですから、レースシートの獲得は現実的には厳しいかなと思います。10億円、20億円をパッと集めてこいと言われても僕には厳しいですから。それが集められるなら去年だって苦労しなかったでしょうしね」

 そのため、たとえリザーブドライバーであっても、F1界に残ることを優先したいと可夢偉は言う。他カテゴリーでの活動は視野に入れておらず、F1が最優先だと明言する。

「F1に残ることを最優先に考えてますし、他カテゴリーは考えてないですね。もちろんレースができれば良いですけど、そんなに甘くないっていうことも理解してるんで、もちろんリザーブドライバーも選択肢のひとつです」

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