【MotoGP】最高峰クラスから日本人ライダーが消える? (2ページ目)

  • 西村章●取材・文 text by Nishimura Akira 竹内秀信●撮影 photo by Takeuchi Hidenobu

 アプリリアファクトリーの空きシートは、スーパーバイク世界選手権の最終戦が行なわれる11月2日を待って決定し、イオダ・レーシングは、現在MotoGPクラスに参戦しているイタリア人選手でほぼ確定だとも言われている。

 つまり、事実上、青山が来季のシートを失う可能性は非常に濃厚になった、ということだ。

青山は来季のシートが決まらないまま最終戦を迎える青山は来季のシートが決まらないまま最終戦を迎える もちろん、この苦しい状況をもっともよく理解しているのは、ほかでもない青山自身だ。2週間前の第15戦日本GPの段階では、「レーシングライダーとして継続したいという気持ちはまだ強い」と話していたが、その後、オーストラリアからマレーシアと約2週間を経ることで、その心境にも変化の兆しが見えていた。

 第17戦マレーシアGPに先だつ木曜日、週末に向けた準備作業が慌ただしいピットボックスで青山が話す来年の展望は、見据える方向が2週間前とは明らかに違っていた。

「イオダ・レーシングに移籍する可能性は10%......、いや、5%くらいだと思います」

 ホンダから他陣営へ移ってでもレーシングライダーとして参戦を継続するよりも、以前からオファーを受けていたホンダのテストライダーとして新たな道を切り拓くことのほうに、今の青山は意義を見いだしている様子だった。

「イオダに移籍したとしても、チームの規模や体制を考えると、いい成績を残すことは難しいと思います。しかも、来年イオダで走ったからといって、その翌年にアプリリアのファクトリーチームに行ける保証があるわけでもない。それならホンダのテストライダーとして活動したほうが、今までの自分の経験をマシン開発という形で活かすことができるし、もし誰かが負傷欠場などをした場合には、代役参戦というチャンスが巡ってくることがあるかもしれない。だから、今の気持ちとしては、95%くらいテストライダーという方向に傾いています」

 この第17戦で青山は、30℃を超す気温のなかで行なわれた土曜午後の第1予選で上位2名に入り、第2予選へ進出。その第2予選でファクトリーライダーたちと計12名で決勝のグリッド位置を競い、今季ベストの4列目11番グリッドを獲得した。そしてこの日、10月25日、青山は33歳の誕生日を迎えた。チームが用意したサプライズパーティの誕生ケーキを前に相好を崩し、「このパワーをポジティブに活かして、明日はいい結果を出したい。この暑さだから20周のレースは厳しいと思うけど、バイクのセットアップもいい方向に仕上がってきています」と日曜のレースに向けた意気込みを語った。

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