2014.09.24

【F1】崩壊寸前のチームで奮闘。可夢偉は鈴鹿で走るのか?

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki 桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

 夏休み明けにアップデートが投入されたマシンをイタリアGPで初めてドライブし、可夢偉はパフォーマンスの向上を感じ取っていた。それがイタリアGPとは特性の異なる市街地サーキットのシンガポールでどう生かされるのか、可夢偉はそれを楽しみにしていた。

 だが現実はそう甘くはなかった。

 バンピー(凹凸)で埃っぽい路面に、ケータハムCT05はあちこちで跳ね回ってグリップせず、可夢偉はコクピットでステアリングと格闘することになった。

財政的にも苦しい状況が続くケータハム「なかなかシビレますよ。跳ねすぎて、走っていて気持ち悪くなってきましたもん。曲がらないし、トラクション(加速力)もないし、何もないですね(苦笑)」

 その結果、イタリアGPのモンツァでは上回ることができたマルシア勢にも、再び1秒の差を付けられてしまった。モンツァでケータハムが速かったのではなく、他のチームがダウンフォースを削ったことで差が縮まっただけのことだったのだと可夢偉は結論づけた。

「かなり差が大きいんで、これにはガッカリですね。結局、僕らはダウンフォースがないってことです。こっちの全開ダウンフォースが周りのチームでいうローダウンフォースくらいなんで、(モンツァのような)ローダウンフォースのところにいくと悪くないってことなんでしょうね」

 金曜フリー走行でのデータを元に、可夢偉は今までにやったことがないほどセットアップを大きく変えることにした。言い換えれば、そのくらい厳しいマシン状況だったということだ。

「脚回りを硬くしたとか柔らかくしたとかというよりも、説明できないくらい難しいことをやりました。今までにやったことがないようなことをやったんです。クルマが曲がりやすい方向に大きく変えたと言っていいでしょうね。クルマの挙動は悪くはなってないし良い方向に行ってるけど、特性的に僕らのクルマに合わないサーキットやっていうのが大きかったですね」

 こうしてなんとかクルマのセッティングを合わせ込んだ可夢偉だったが、それでも完璧にはほど遠い状態だった。前後でタイヤの温まるペースが異なり、最初はリアだけがグリップし、リアがタレた頃にようやく温まったフロントがグリップするという、前後のアンバランスに苦しむ。それを予選でうまくいなしてチームメイトを1.7秒も上回るタイムを記録してみせたのは、可夢偉がザウバー時代に同じような問題に対処する術を学んでいたからだった。