【MotoGP】12戦11勝。若き王者マルケスの勢いは止まらず

  • 西村章●取材・文 text by Nishimura Akira 竹内秀信●撮影 photo by Takeuchi Hidenobu

 一方、ロレンソはマルケスとの戦いに敗れて2位に終わったものの、低迷した金曜からの上げ幅を考えれば、まず今回は納得のレース、という表情だった。

「金曜は1周あたり1.3秒のタイム差があったことを考えれば、20周の決勝レースを0.7秒差でフィニッシュできるとは思ってもいなかった。自分たちが抱える問題を解決するために、決勝前のウォームアップで微調整を加えて、マシンのリーンアングル(バンク角)を稼げるようになったんだ。レース終盤にタイヤが摩耗しはじめてからは、序盤のようにコーナー立ち上がりで充分に加速することができず、ブレーキングで負けても加速でリカバーしてくことができなかった。それでも、初日から考えればかなり良く出来たので、今回はいいレースウィークだったと思うよ」と、むしろさばさばした表情で今回の敗因を自己分析した。

 ロレンソのチームメイト、バレンティーノ・ロッシは3位表彰台を獲得したものの、トップ2台とは8秒近い差をつけられたフィニッシュだった。

 ロレンソと同じマシンで、金曜は同じように低迷して土曜に劇的な改善を果たしながら、決勝レースのリザルトには大きなタイム差が開いてしまった。その原因についてロッシは、自分はずっとシルバーストーンが不得意で今回初めて表彰台を獲得できた一方、ロレンソは当地を大得意コースにしているという差が大きい、と話した。

 さらに「レースのラップタイムはホルヘと僕はそんなに変わらなかったけれども、ホルヘの方がタイヤの温存がうまくて、最後までグリップ力を上手に残していた」と分析。次の第13戦は、ロッシの自宅からもほど近いサンマリノGPだが、「去年は、ブレーキングに大きな課題を抱えていたので4位に終わった。それでもレース半分くらいまで、トップ集団について走れた。今年はブレーキを強く出来ているしバイクのセッティングもよくなっているから、最後まで彼らと勝負できると思う。今年はホンダ、とくにマルクがレース終盤に圧倒的な強さを見せていて、最後まで軽々とペースを維持できているようなので、僕たちも最後まで勝負できるようにバイクのいいバランスをみつけたい」とホームGPに向けた抱負を話した。

 去年の第13戦サンマリノGPはロレンソが優勝、マルケスは2位で終えている。今年のレースでマルケスが優勝を飾れば、12勝目。ミック・ドゥーハンが1997年に達成したシーズン最多勝記録に並ぶことになる。

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