【F1】オーナー交代。可夢偉のシートはどうなる?

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki 桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

 そして雨の予選で、ケータハムと可夢偉は雨量が最も少なくなった最高のタイミングでドライタイヤに換えてコースインをした。上位勢はもたついており、そのまま行けばQ2進出は間違いない。インターミディエイトでの最初のアタックを早々に切り上げた、可夢偉の好判断だった。

今季のケータハムはいまだ入賞なし。ポイント獲得が至上命題だ今季のケータハムはいまだ入賞なし。ポイント獲得が至上命題だ「最初にインターミディエイトで1周アタックして、クールダウンを1周挟んでからもう1発アタックする予定やったんです。でも1周アタックした時点で『スリック(溝なし)で行けるから』っていうて帰ってきたんですよ。僕自身の判断で。雨は若干降っていましたけどまだ(アタックに)行けるくらいで、僕が出て行ったのが最高のタイミングやったんです。だって、僕らより後にアタックしたマルシアがQ2進出ですからね」

 しかし、レースエンジニアからの無線で、可夢偉はピットへと呼び戻されることになってしまった。

 マシンのパワーが出ない。それはマシントラブルというよりもスタッフのミスと言うべき問題だった。

「僕らはうまく判断はできてたんですよ。それで美味しいところをつかみに行けてたのに、肝心なところでトラブルが出て……。ああいうときにちゃんとボーン!って行っていたらねぇ。一番オイシイとこを掴めそうやったのに。バカだなぁ、ホンマに……」

 結局、最速タイムの107%以内のタイムを記録することができなかったケータハムの2台は、温情措置で最後列グリッドから決勝に出場することを許されるという扱いになった。

 しかし、スタートしてすぐに可夢偉の目の前でキミ・ライコネン(フェラーリ)が大クラッシュを演じ、痛んだガードレール補修のためレースは1時間にわたって赤旗中断。

 可夢偉はあわやというところで巻き添えを逃れたが、飛んでくるライコネンのマシンをどうやって回避したのか、自分でも分からないほどの一瞬の出来事だった。

「ライコネンがひとりで飛び出て戻ってくるのが見えて、それがすごい勢いで飛んできたし、すごいパーツも飛んでるし。どっちに避けたらいいか分からなくて、絶対当たったと思いましたよ。どうやって避けたんか、いまだにわからへんもん(笑)」

3 / 5

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る