2014.06.11

【F1】独走メルセデスの牙城崩壊。カナダGPの舞台裏

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki 桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

 レース後、ベッテルは公然とチームを批判した。レース中も無線で「もっとスマートにやる必要がある!」「どうして何もしてくれないんだ?」と不満をぶつけていた。フォースインディアにうまく対処していれば、レース終盤に3位を走っていたのはベッテルのはずだった。そして、レッドブルに今シーズン初優勝をもたらしていたのも、おそらく彼だったはずだ。

 ベッテルとは対照的に、リカルド陣営はクレバーなレースを展開した。序盤はメルセデスAMG勢、フォースインディア勢、ベッテル、ウイリアムズ勢に次ぐポジションでしかなかった。しかし、気付けばそのほとんどをピットストップの間に逆転していたのだ。

 そして、残り20周を迎えようかというところでメルセデスAMGの2台が勢いを失った。

「残り20周くらいのところでレースが突然変わった。メルセデス勢がトラブルを抱えてくれたおかげで僕らは追いつくことができた。ペレスの最高速が速くて抜くのにものすごく苦労していたんだけど、最終シケインからうまく立ち上がってターン1で抜いてからは、ターゲットはロズベルグだけだった。あとはココというところで仕掛けるだけだったね」(リカルド)

 フォースインディアの2台は、レース中盤はニコ・ヒュルケンベルグがベッテルを、そして中盤以降はペレスがリカルドを抑え続けていた。ストレートが遅いレッドブルは、おそらくフォースインディアのトラブルがなければオーバーテイクはできなかっただろう。

 しかし、リカルドはペレスがトラブルでペースダウンするやいなや、すぐさまパスし、一気に首位ロズベルグに追いつき、残り2周で抜き去った。

 今季のF1で勝つためには、別次元の速さのメルセデスAMGの自滅を待つより他にない。だが、その自滅が起こった時に、チャンスをつかみ取ることのできる位置にいなければ、勝つことなどできない。リカルドは目の前に巡って来たチャンスをしっかりとつかみ取ってそれを証明した。