2014.05.20

【F1】名門マクラーレンで陣頭指揮をとる日本人、今井弘の奮闘

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki 桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

 だが、東京大学在学中からモータースポーツ好きで、F1の世界で活躍することを夢見ていたという今井にとっては、願ってもない環境に身を置いていることになる。

 マクラーレンは人材登用に積極的である反面、結果が伴わなければすぐに契約を終了するという厳しい一面も持っている。そんな名門チームで、今井は長く要職を占め、それどころか次々と自らの職責を広げている。

「レースですから、やはり結果が重要視されますよね。常に結果を出し続けていかなければならないというのはたいへんです。そこに至るまでの過程で、これまでの常識とは違うようなことをやりたい時に、いかにして周囲にそれを納得させるかということも大変です。でも、それがきちんと結果に結びつけば、周りはついてくるようになりますから」

 日本を飛び出し、世界中の人々が切磋琢磨するF1の世界に生きる今井には、きっとさまざまな苦労や苦悩に直面することがあることだろう。しかし、それをチャンスと捉えて挑戦を続け、1000分の1秒でも速くマシンを走らせるために心血を注ぎ、そして結果を出す。それこそが、技術者として最上の喜びなのだ。

「F1は非常に優秀な連中が多い世界ですから、そういう連中と一緒に仕事をするのはとても面白いですよ。常に刺激を受けますし、それがまさに私がやりたいと思っていたことですから。今は楽しくて仕方がないですね」

 そう言ってピットガレージの奥へと消えていく今井の、眼鏡の奥の目がまた厳しく光った。

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