2014.05.20

【F1】名門マクラーレンで陣頭指揮をとる日本人、今井弘の奮闘

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki 桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

「簡単に言えば、タイヤをどううまく使うかというところで、ブレーキであるとかサスペンションのコンセプト作りに携わっています。さらに2015年型マシンの開発も並行して進んでいて、そちらにも携わっています」

“ビークルダイナミクス部門プリンシパルエンジニア”であった今井の肩書きは、昨年から“スペシャルプロジェクツ担当プリンシパルエンジニア”へと変わった。従来のメカニカル面の開発コンセプト策定という範疇(はんちゅう)に留まらず、複数のプロジェクトに対して責任を負う立場へとさらに活動の場を広げているのだ。

「つまり、何でもやれと言うことですよ(苦笑)」

 今井は謙遜してそう言うが、マシン開発においても中核を担う人物のひとりであることは間違いない。

 これまでも曙ブレーキ工業(ブレーキシステム)やエンケイ(ホイール)、ケンウッド(無線システム)など日本のサプライヤーとの連携役を任されていた今井だが、現在では2015年のF1復帰に向けて開発を進めているホンダとの連携においても重要な役割を担うことになった。

「ホンダとのやりとりはしょっちゅうしています。数名で日本とイギリスを行ったり来たりもしていますし、テレビ会議もありますし。もちろん、いろんなプロジェクトがありますから、いろんなメンバーがあちこちで動いているわけですが。

 マクラーレンは日本のパートナー企業が多いですから、そういった企業のスタッフの人たちに微妙なニュアンスを理解してもらったりチーム側に伝えたりということが必要になってくる。そんなときには、日本人であることのメリットを感じます。チームにとってもメリットはあるでしょうね。マクラーレンの中では日本人は私だけですから、否が応でも名前は覚えてもらえますし(笑)」

 さらには、今年からマクラーレンが提携を開始したGP2(F1直下のカテゴリー)チームのARTとの技術提携も担い、伊沢拓也らドライバーにピレリタイヤの使い方の指南もしている。

 多忙を極める今井は、バーレーンGPの後は深夜のフライトで月曜朝にイギリスに戻り、そのまま出社。散髪は「日本でもイギリスでも、できる時にできるところでやります」というような生活を送っている。