2014.05.13

【F1】「下位チームの悲哀」を乗り越え可夢偉は前進する

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki 桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

 ただ、思ったように開発はうまく進んでいなかった。スペインGP前にイギリスのファクトリーを訪れた可夢偉は、チームスタッフの間に「こんなはずじゃなかった」という雰囲気が漂っているのを感じたという。

「この先は、(各チームの開発が進むので)他車がリタイアすることでポイントを獲れるなんてことは考えられないでしょ? それでもチームのムードを盛り上げていかないといけないから、たいへんですよ」

 5月10日、ケータハムは技術体制の変更を発表し、テクニカルディレクターのマーク・スミスを更迭して各部門の代表者3人による合議制へ移行することを明らかにした。2012年に飛躍したザウバーが採った方策と同じだ。

 可夢偉のひと声でそれが決まったとは言わないが、開発の遅れの原因が従来の技術体制にあったことを可夢偉は示唆した。

「僕が変えてほしいと言ったわけじゃないですけど、チームの問題点を指摘していった結果、こうなったということです。チームは変わろうとしているし、変わらなきゃいけない。あとは予算があればというところやけど、それはザウバーやマルシアも同じ(ように資金難に苦しんでいる)わけで、予算の問題よりも、僕らはもっと根本的に変わるべきところがいっぱいあると思いますよ」

 そう語った可夢偉のスペインGPの結果は、決勝レースの34周目に突然左フロントのブレーキディスクが割れてリタイアとなった。
※優勝はメルセデスAMGのルイス・ハミルトン。2位に同じくメルセデスAMGのニコ・ロズベルグ、3位にはレッドブルのダニエル・リッカルドが入った。

 何の前触れもなく「ブレーキを踏んだ瞬間に『バーン!』やから、めっちゃ恐いですよ」。可夢偉は「(トラブルがなければライバルチームの)マルシアの前でゴールできていたかもしれない」と言いながらも、「どうでも良いですよ、そんなレベルの低い話は」とサバサバしていた。

 バルセロナであらためて痛感した「下位チームの悲哀」。しかし、それにくじけるような可夢偉ではない。そこから脱出するための道のりを、すでに歩み出している。そして、その歩みを止めることはないはずだ。

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