川井一仁が語る「アイルトン・セナ、20年前のあの日......」
それから2日後、日本に帰国してからも心の整理はまったくつかなかった。たぶん、自分でセナの死を受け入れられなかったんだと思う。セナは僕にとって唯一の「カリスマ」だったし、自分とほぼ同じ時期にF1の世界に飛び込んで、パドックで同じ時間を過ごしてきた「同級生」でもあったからね。そもそも、あのセナが死ぬなんて想像もしていなかった、そんなタイプじゃないと思っていた。
あと、レース前、実際にタンブレロコーナーの舗装が酷い状態だったのを見ていて、自分はそれが事故原因だと思っていたから、そんなバカげた原因であのセナが死ぬなんて、到底、受け入れられなかったというのもあると思う。
唯一できたのは「泣くこと」だけだった。何日かは、セナのことを思い出しては泣いていた......。
プロフィール
川井一仁(かわい かずひと)
1960年埼玉県生まれ。モータースポーツジャーナリスト。日本でF1のテレビ中継が開始された1987年から、ピットレポーターとして活躍。
現在はフジテレビNEXTのF1中継のほか、「F1GPニュース」(フジテレビONE)のキャスターも務める。
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