2014.05.04

川井一仁が語る「アイルトン・セナ、20年前のあの日……」

  • 川喜田研●インタビュー・構成 interview by Kawakita Ken

 事故原因についてはセナの乗っていたウイリアムズのマシンのステアリングコラム(ハンドルと前輪を繋ぐシャフト部分)が折れたとか、セイフティカーが入って速度が落ちたせいで、タイヤの内圧が下がっていたからとか......、今でもいろいろな説があるけど、確実に言えるのは、あの年のイモラは路面コンディションが最悪だったということ。

94年、ウイリアムズのレーシングスーツ姿のセナ photo by LAT/AFLO 木曜日に今宮純さんと一緒にコースを歩いてみた時、路面の舗装があまりにボロボロで、これはまともにレースできる状態じゃないと思った。セナの事故が起きたタンブレロコーナーなんて、舗装の継ぎ目が1センチぐらいの段差になっていて、最悪の状態だったからね。

 マシントラブルが無くても、高速であの段差に乗っかって、マシンがボトミング(マシンの底部が路面に接触してしまう状態)を起こせば、そのままコントロール不能に陥る可能性は十分にあったと思う。今宮さんも同じ意見で、翌日にあったフジテレビの特別番組でも「あの路面が原因のひとつだと思う」と伝えようとしていたけど、日本のスタジオと話がうまく噛み合わなかった......。

 あの事故があった日の夕方、まだ日が沈む前に、僕と今宮さんと三宅さんでタンブレロコーナーの事故現場を見に行ったんだ。

 セナのマシンが激突したコンクリートウォールにはベッタリと、まるで「魚拓」みたいにウイリアムズのマシンの塗装が残っていて、あの、セナの黄色いヘルメットの後もハッキリと残っていたから、衝突の凄まじさが伝わってきた......。

 どこから潜り込んだのか、自転車に乗ったイタリア人の男の子もその場にいて、コンクリートウォールのヘルメットの跡がついた部分を指さしながら、「ホラ、頭が当たっている」と言っていたな......。その後、レース前に僕がベネトンの連中からもらったジョニー・ウォーカーの青ラベルを、三宅さんが壁に掛けて、「どうか、天国の本田宗一郎さんとふたりで、先に一杯やっていてください......」と、話しかけてね......。しばらくみんなで祈りを捧げた。