【F1】チーム代表交代。不振のフェラーリが反撃開始! (3ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki

 2008年を最後にタイトルから遠ざかり、今年もまたタイトルへの挑戦が危うそうな状況。開幕からの3戦で一度も表彰台に上がることすらできない状況にありながら、アロンソは、上海での逆襲をバーレーンで予言していた。

「クルマを走らせるための新しいアイディアを投入した新パーツを、バーレーンGP直後のテストで試す。それが僕らにとって逆襲の第一歩となり、そのパーツが投入される今後数戦で表彰台を狙っていく。それが第二歩だ」

 それを裏付けるかのように、アロンソは中国GPの金曜日から好タイムをマークした。

 同じPUを使うザウバーやマルシアも、ストレートでの戦闘力を高めており、PUの制御面で何らかの改良がもたらされたことがうかがえた。さらに、リアウイングに蛍光色の揮発性オイルを塗り、その跡を見て走行中の気流を確認する「フロービズ」を実施したことから、空力面の改良を推し進めたことも見てとれた。また、フロントのブレーキダクトも改良し、最高速を伸ばすために空気抵抗を減らす努力も怠ってはいない。

「クルマはいろんな部分でパフォーマンスが不足している。何かひとつ大きな理由があるわけではなく、空力、パワー、トラクションなど、それぞれの部分で少しずつ後れを取っていた。コンマ数秒どころではなく、0.05秒ずつの積み重ねだ。それをひとつずつ改良し、全体を強化していかなければならない」(アロンソ)

 5番グリッドから決勝に臨んだアロンソは、オープニングラップで久々に持ち前のアグレッシブな走りを見せて3位へと浮上した。

フェラーリは中国GPで今季初の3位表彰台を獲得photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)フェラーリは中国GPで今季初の3位表彰台を獲得photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO) フロントタイヤに厳しいこの特殊なサーキットでは、ペースの遅いクルマに前を抑え込まれるとダウンフォースを失い、タイヤが滑ってさらに状態が悪化するという負のスパイラルに陥ってしまう。そのため、1周目にできるだけ前へ出ておきたかったのだ。

「それでもタイヤのグレイニング(表面のささくれ)はひどかったですよ。それに摩耗も。走り終わったタイヤを見ると、もうほとんどゴムが残っていない。完全摩耗に近いところまでいっていました。そうなるとグリップはガクンと落ちますからね」

 レース後、フェラーリのタイヤマネジメントを担当する浜島裕英エンジニアはそう言いながら、無事に完走したマシンを見てほっと胸をなで下ろした。

3 / 5

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る