【F1】小林可夢偉インタビュー「やりがいもクソもなくて、『やるしかない』」 (4ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki 桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

―― 2回のテストを終えた現時点で、開幕前の準備はどのくらい残っていますか?
「95%くらいですね(苦笑)。でも今回パワーユニットをフルパワーで走らせて、ブレーキの課題が確認できたのは大きかった。次のテストまでの4日間でバーレーンに残ってエンジニアたちと一緒に優先順位を考えていろいろとプログラムを組んでみて、時間を最大限に使えるようにして、できるだけテストをしてから開幕戦のメルボルン(オーストラリア)に行きたいなと思います。やることが多すぎて、頭がパンパンですけど(苦笑)」

―― 逆に、開幕戦までにその問題が解決すれば、セットアップ作業がぶっつけ本番になっても金曜・土曜のフリー走行だけで行けるでしょうか?
「そこそこは行けると思う。(車体としては)意外と悪くないかもしれないですね。仮にパワーユニットが同じレベルなら、一歩間違えればザウバーと戦えるくらいのポテンシャルはあるんじゃないかと思うんです」

―― 1年ぶりのF1ですが、どういう覚悟で臨んでいますか?
「ここでうまくいくかいかへんかで、来年F1にいるかどうかが決まるから。2009年にトヨタで乗れることになった時(第16戦のブラジルGP)、1戦しかチャンスがない中で『何かしよう』じゃなくて『楽しもう』って思ったんですけど、今の気持ちもそれと同じですね。楽しく精一杯やって、それであかんかったら綺麗にF1をあきらめて次のことを考えるっていうね。これがダメだったらもうないですよ、次のチャンスなんて。それくらいの気持ちでやります」

―― 今のこの状況でもこの“新しいチャレンジ”を楽しんでいる?
「今までルノー・エンジンは良いと思っていたし、ようやくそのルノーを使えると思ったらこんなことになるなんて、なんていう人生なんやろうって自分の中で笑いながらここにいるんですけど(苦笑)。ただ、これが僕の与えられた仕事やし、このチャンスは自分にとって最初で最後っていうくらいのつもりでいるので、精一杯、思う存分やれたら良いなと思ってやってます。だからこそ楽しめているし。ここで良いクルマが作れてルノーを助けられれば、それはそれで自分の評価につながりますからね。できるだけ楽しんでしっかりやっていきたいなと思います」

―― 1年間、F1に乗っていなかったわけですが、不安はないですか?
「いや、まったくなくて、逆に自信になったくらい」

―― その自信の源は?
「やることはやったから、あとは信じるだけでしょ。一生懸命、楽しくやるだけです! 先はまだまだ長いけど、やります! 何を言うてもやるしかないからね」

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