【F1】大変革の2014シーズンは何が変わるのか? (3ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • photo by Renault Sport

 フェラーリのエンジニアリングディレクター、パット・フライは次のようにその重要性を説明する。

「全開で走る時と燃費マネジメントを要求される時とでは、同じマシンでも1周あたり1秒以上の違いが生じてくるだろう。いつ全開で走り、いつ燃費をセーブするのか、これまで以上にレース戦略が重要になる。マシンパフォーマンスを最大限に引き出し最大限の結果につなげるためには、これまで以上にチーム全体が一体となって働き、レースを組み立てていかなければならなくなるだろう」

 マシンの熟成だけでなく、実戦に向けた“使い方”の準備も必要になる。3月のシーズン開幕までに許される公式テストはたった3回・計12日間のみであり、その短い間にデータを蓄積し分析を進めなければならない。コース上の実走テストだけではなく、シミュレーターも最大限に活用した準備は実車が完成する前からすでに着々と進められ、どのチームもこれまでになく忙しいオフを過ごしているのだ。

「マシンはまったく新しいテクノロジーに満ちたものになるし、僕らドライバーもシミュレーターでかなりの時間を費やすことになる。まだトルクやドライバビリティなどエンジンがどんなものになるのか正確に分からない段階では、テストでの作業もはっきりとは見えてこないし、想定外の事態が起きた時のためにバックアッププランも用意しておかなければならないだろう。クエスチョンマークがたくさんある。それもチャレンジングだね」(ニコ・ロズベルグ/メルセデスAMG)

 そんな中で作り上げられる2014年のマシンは、まさに白紙からのデザイン。

 2009年から5年間にわたって大きな技術規定変更がない中で、レッドブルが突出したスピードを築き上げ、F1界の勢力図は硬直状態に陥っていた。しかし2014年は違う。新規定にいち早く適応し、正解を見つけたチームが上位進出を果たすはずだ。

 もちろん資金力に勝る4強チーム(レッドブル、フェラーリ、メルセデスAMG、マクラーレン)が有利であることに変わりはないが、中団チームとて資金力の差を頭脳と努力でひっくり返すチャンスはある。それが大変革のシーズンというものだ。技術規定が大きく変わった2009年にそれまで中団チームだったレッドブルが一気にトップチームへと変貌を遂げたように、勢力図が大きく塗り変わる可能性は大いにある。

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